(第11回)世界のメガトレンドの中、インドに学ぶ

どうする日本の経理・財務部 --- 或るCFOのつぶやき

(第11回) 世界のメガトレンドの中、インドに学ぶ

2016年11月25日

 国際会議において、決まって議長が困ることが二つあるといいます。一つは、日本人の参加者に意見を言わせることで、もう一つは、インド人を黙らせることだそうです。
ことほど左様に、インド人は自分の意見を持ち、それを積極的に伝えようとしますが、一方、日本人はそもそも自分の意見をあまり持たないし、おのずと無い袖は振れないわけで、大した意見でもないものを発表しようとすることには躊躇しがちです。
日本企業の今後を展望した時、総人口の減少という動かし難い現実がある以上、成長の源泉を海外に求めざるを得ないことは言うまでもないことです。世界の人口は、現在の70億人から更に増加し、34年後の2050年にはとうとう100億人を突破するといわれています。現在、世界最大の人口は中国の13.8億人で、インドは13.1億人ですが、中国は一人子政策の影響から人口は横ばいから減少に転ずると見られており、一方、インドは2050年には17億人を突破し、世界最大の人口となる見込みです。
日本経済は、高度成長期のようにグローバルにそのプレゼンスを拡大することは元より、そのプレゼンスを維持することさえ容易でない環境にあるのが現実です。新たな成長に向け、今後の持続的な成長に繋げるためには、日本企業は果断な取り組みが求められていると思います。その際、インドの動きには大いに参考となる点がありそうです。

1.世界のメガトレンド
日本企業は国内市場の縮小に伴い、世界におけるGDPシェアも年々低下して行くものと予想されています。
こうした中、地球規模で注目すべき地域は、やはりアジアです。これまで世界経済を牽引してきた日本や米国・欧州のシェアは低下する一方、アジアの占めるシェアは急激な拡大が見込まれます。日本は、アジアとは地理的に近接しており、歴史的にもつながりが深いものがあります。

(図1 世界における名目GDPシェアの推移)

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(出典: IMF、米国農務省資料より)

それにしても、日本のGDPシェアの低下の著しさには、唖然とするものがあります。そのこと自体、しっかりと受け止める必要があります。しかし、これまで、中国やASEAN 諸国とは長年の深い関係がありましたが、この先、インドの成長が我が国に大きなインパクトをもたらすことに注目すべきです。

(図2 アジアおける名目GDPシェアの推移)

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(出典: IMF、米国農務省資料より)

特に、内政面で大きな課題を抱え、地政学的にも我が国とは緊張関係にある中国に比べ、日本企業のインドへの注目の高さは近年急速に増しています。

(図3 長期的(今後10年程度)有望事業展開先国)

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(出典:JBIC「わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査報告―2015年度海外直接投資アンケート結果(大27回)―」) (注)回答社数は301社。一企業最大5つまで回答。得票率(%)=当該国への得票数/本設問への回答社数

 

2.インド発展の秘密
 グーグル、マイクロソフト、アドビシステムズ、ドイツ銀行。これらの企業の共通点は一体何か、おわかりでしょうか。実は、何れもそのCEOがインド出身なのです。グーグルのCEOはスンダー・ピチャイ氏、マイクロソフトのCEOはサトヤ・ナデラ氏です。そして、孫正義氏に三顧の礼で迎えられた日本のソフトバンクの元副社長ニケシュ・アローラ氏もインド人です。本当にすごいことだと思います。

では、何故、このようにインド人が世界の超有力企業で重要なポストを占めるようになったのでしょうか。その秘密を探れば、我々日本企業にも、大いに参考になるのではないでしょうか。

良く言われている事は、二つあります。先ずその一つは、教育です。広く知られているように、インド人は

0を発見し、数学的な素地があると言われます。例えば、彼らは2桁の掛け算を暗記するように教育されます。最近の日本人は、ゆとり教育のせいもあり、1桁の九九でさえ満足にできない中学生や高校生が沢山いる状況とは大きな差があります。もちろん、そうした才能の面ばかりではなく、PCが一台もない環境の中でプログラミングを学んでいる学生もたくさんいるようで、ハングリーな向上心や教育に対する真摯な取り組みが、インド経済の成長の大きな力になっているようです。二つ目は、やはり英語力です。これは、英国を宗主国とする歴史によるものですが、ヒンズー語のほか21の言語を公的に指定している中で、英語に対する習得の努力も決して少なくないだろうと思われます。インド発展の要因は、他も様々なものがあることはもちろんでしょうが、少なくともこうした2つの点は、日本も学ぶべきことが多いと思います。

 

3.日本の財務・経理部がインドに学ぶこと
 インドの成長を支えている事の、もう一つの要素としてテクノロジーへの先進的な取り組みを忘れてはなりません。

インド第一の大学で、多くの経営者、技術者を輩出しているのは、インド工科大学です。世界的に見ても、グローバルな経済競争において、技術革新への対応はいつの時代においても必須の要素であり、特に、近年のIoT、ビッグデータ、AI等に象徴されるデジタルテクノロジーの活用は社会・経済に大きな変革を生じさせるものとして、「第4次産業革命」といわれています。

“眠れる龍”中国がようやく独り立ちした後、いよいよこれから立ち上がるのが“眠れる獅子”たるインドだと思います。アジアに輝く「未来の星」はインドではないでしょうか。知識の吸収に努め、グローバル化に対応した英語力と新たなデジタル技術を活用すること、我々、日本の財務・経理部のメンバーは、こうしたインドに倣う点が多くあるのではないでしょうか。

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ブログについて

どうする日本の経理・財務部ー或るCFOのつぶやき 
大手情報通信会社にて長年企画・財務業務に携り、その後、金融子会社でグループのトレジャリー・マネージメント・システム導入に携ったCFOによるブログ。
執筆者の経験を元に、今の日本企業における経理・財務部の在り方や課題について感じたこと提案、今、日本企業が直面する大きな変化にどのように立ち向かうべきかという執筆者の考えを、現在経理・財務部門で働く人たちに向けて語ります。

 

執筆者プロフィール
Reval Japan株式会社 会長、今川 愼一(いまがわ しんいち)
大手情報通信会社にて長年企画、財務業務に携り、その後、金融子会社のCFOを務める。グループのGCMS、TMSシステム導入を図り、財務のグローバル化を推進する。

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