(第1回) どうする経理・財務部のグローバル化

どうする日本の経理・財務部 --- 或るCFOのつぶやき  (第1回) どうする経理・財務部のグローバル化

2016年3月1日

先週末、出張を終えてロンドンから羽田に降り立った時のあの安堵感は一体何なのだろうか。決して、海外出張は初めてという訳でもないのだが、オフィスでの会議は元より、食事に出た街中でも常に緊張している自分を感じていた。

そんな、小心者の筆者は、これまで、さる大企業において企画、財務畑を中心に37年近く勤務し、直近は、金融子会社のCFOを務めていた。とてもではないけれど、人様に誇れるようなものは何もないが、企業財務を長年目の当たりにし、途中、NYの銀行に4年、霞ヶ関の中央官庁に3年働くなど、いろいろ変った見聞もしてきた。

そうした経験をもとに、自分が感じていた危機感と自分が成し遂げられなかったことの後悔などを踏まえ、今いまの日本企業における経理・財務部の在り方や課題について、後述する日本企業が直面する大きな変化にどのように立ち向かうべきかを中心に、私なりの考えを、現在、経理・財務部門で働く人たちに向けてお伝えしたい。出来ればそれが少しでも皆様のお役に立つことを願いつつ、今回、このブログを立ち上げることとする。

なお、本文中の考えや意見等は、すべて私の個人的見解であることをお断りしておきたい。

1.日本企業が直面する“3つのG”
 
戦後の荒廃から急成長し、好景気と不況を繰り返しながら、日本経済は1980年代後半のバブル期を経て、その後の長いデフレの時代の「失われた20年」がようやく終わろうとしています。アベノミクスが本当に成功するか否かは、もう少し時間が必要なようですが、少なくとも現在の経済環境の中、多くの日本企業は3つの大きな潮流に直面しているように思います。

① Globalization (グローバル化)
② Group management (グループ経営)
③ Governance reinforcement (ガバナンス強化)

今回は、この内のGlobalizationを2回にわたり取り上げてみたいと思います。

2.グローバル化の背景

日本の人口は、2015年の時点で1億2660万人です。しかし、少子化の進行により、政府の将来人口推計(中位)によれば、2050年には9708万人に減少する見込みです。現在の約4分の3の人口になってしまう訳です。同時に、高齢化が急速に進行し、65歳以上の高齢化率は2050年には38.8%まで増加します。経済成長は、技術革新、景気変動等様々な要因によって決定づけられますが、人口動向がその最大の要因の一つであることに異論ないと思います。我が国は、こうした人口動向の観点から、企業にとって国内市場の縮退は避けることができず、市場を海外に求めざるを得ない現実に直面しているといえます。これまで世界で繰り広げられてきた植民地争奪戦を振り返るまでもなく、ある面、資本主義経済の宿命と言わざるを得ないのかもしれません。

(図1)

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※出典:2010年までは総務省「国勢調査」、2015年以降は国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」の出生中位・死亡中位仮定による推計結果

 

 3.日本企業の海外進出と経営管理の現状
 
日本企業は、海外市場の開拓のため多くの海外現法を設立し、海外への工場進出も積極的に行いました。
また、21世紀初めのITバブル期以降、日本企業による海外M&Aが急速に活発化しました。

(図2)M&A件数の推移

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出典:レコフデータ「1985年以降のマーケット別M&A件数の推移」より抜粋

 

こうした海外進出は、主に、市場の拡大、即ち、売上の増加のために行われることが目的であり、その点では一定の成果を上げることができた日本企業は多かったと思われます。日本企業の海外売上高比率の急激な増加が、そのことを明確に示しています。

(図3)

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出典:株式会社国際協力銀行「わが国製造業企業の海外事業展開に関する調査報告」(2015年度)

 

しかしながら、海外現地法人や海外M&A子会社の経営については、些か問題があります。特に、経理・財務面からみると、会社設立時の資本金や貸付金の面倒は見るものの、その後の資金繰り等については、現地の日系金融機関やM&A子会社が従来から使っていたローカルの金融機関に任せきりというケースが多くあったからです。そして、そうした海外子会社から上がってくる経営数値は、四半期か、せいぜい月1回程度の会計数値等がエクセルに記載されて報告されるだけというのが現状だったのです。
4.グローバル化と経理・財務部門

企業におけるグローバル化とは、市場拡大と海外売り上げの増大、安い労働力を求めての製造工場の海外展開、或いは、最近では海外の最新技術を求めてのR&Dセンターの海外設立などであって、
企業組織でいえば、営業部門、製造部門、技術開発部門のテーマだったのです。経理・財務部門にとって、グローバル化は、或る意味、他人事。華々しく海外出張や海外赴任する同期入社の友人を横目に、
我関せずと自分の城に閉じこもっていたと言っても、言い過ぎではないでしょう。
しかし、グローバル化の更なる進展は、引っ込み思案な経理・財務部門のメンバーを、いつまでもそうのんびりさせてくれない状況に追い込んでいくのです。ロンドンで終始不安を感じていた小心者の元経理・財務マンも、もうそんな弱音を吐いていられる時代では無くなったようなのです。

以上

ブログについて

どうする日本の経理・財務部ー或るCFOのつぶやき 
大手情報通信会社にて長年企画・財務業務に携り、その後、金融子会社でグループのトレジャリー・マネージメント・システム導入に携ったCFOによるブログ。
執筆者の経験を元に、今の日本企業における経理・財務部の在り方や課題について感じたこと提案、今、日本企業が直面する大きな変化にどのように立ち向かうべきかという執筆者の考えを、現在経理・財務部門で働く人たちに向けて語ります。

 

執筆者プロフィール
Reval Japan株式会社 会長、今川 愼一(いまがわ しんいち)
大手情報通信会社にて長年企画、財務業務に携り、その後、金融子会社のCFOを務める。グループのGCMS、TMSシステム導入を図り、財務のグローバル化を推進する。

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